青春の軌跡 〜 映画「青い棘」

この前TVのチャンネルを換えていたら映画が終わるところだった。
番組表を調べると「青い棘」(2004年ドイツ)とあった。
ピアノが少し哀しげな旋律を奏で始めると、続いてトム・ウェイツを彷彿とさせるボーカルが被さって来た。

"遠ざかるにつれて近づく
もっと遠くへ行こう
孤独な魂が求める場所へ
長い旅路をたどって"



キャストを知らせる画面が切り替って、穏やかなフィルターを透過した、眩しい陽の光が照らし出す真っ白なシャツにネクタイ姿の青年が、自転車にふたり乗りしてはしゃいでいる映像が映し出された。


"善悪の彼岸を渡る
これが敗北の道でもいい
時計が時を刻む
休息のひと時を

今こそ飛び立とう
この絶望の場所から
この希望の場所から"


曲/詞 『For now』 Thomas Feiner (日本語字幕:古田由起子) >♪



思わずアンダーラインを引きたくなるような2、3のフレーズに身をつまらせつつ、この楽しげだからこそどこか哀しいシーンは、ふたりが過ごした一番楽しかった時間のひとコマで、きっとどちらか一方あるいはふたりもろともにこの世の人ではなくなるのだろうななどと映画の中身について想像しながらエンドロールが終わるまで観ていた。

再び放送があったとき、録画をして最初から観た。
エンドロールの映像ではよくわからなかったのだが、ふたりのうち主役と思われる青年は予想と異なっていたが、もうひとりは繊細でありながらその全身からデカダンスな香りが漂っていて、期待を裏切らなかった。誰もが彼女を愛してしまうという彼の妹役のキャスティング、別荘の雰囲気、どこまでも美しい映像も好みだった。

片や上流階級のデカダンスを、片や会うものを虜にする魔性を見事に体現した兄妹に脱帽。そしてなによりもやはり、エンドロールの映像と曲の組合わせが絶妙なのだった。



全て録画しながらもエンドロールの部分ばかり観ていたら、コドモが「これどんな内容なの?」と訊いてきた。彼は映像のイメージから、ふたりの様子そのままの楽しい作品を想像したらしい。そのポジティブさが胸に刺さった。
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